| |
ここ10数年で最も多用されてきたフライがこの「エルクヘア・カディス(EHC)」です。その間に日本のフライフィッシング人口は急激に増加しましたが、その大きな“牽引役”となりました。ビギナーの方にとっては、まさに理想的な条件を備えているからです。“よく浮き/よく見え/よく釣れる”うえにタイイングは簡単。しかもデザインや雰囲気はポップ&カジュアル。どことなく“愛敬”もあります。なにかにつけ敷居の高さが感じられるフライフィッシングですが、その敷居を一気に低くしたのは、まちがいなくこのフライです。
そもそもは1950年代にアル・トロスさんという米国の著名な方(このEHCの考案者ということで有名になったのですが)が考案したもので、英国のジョージ・エドワード・マッケンジー・スキューズさんなる、これまたたいへん有名な御方が100年前に考案したパターンのウイングのみを変えただけのものでしたが、それだけで機能性は飛躍的にアップしました。名称こそスキューズさんのパターンにならい“カディス”とついていますが、水中からはメイフライダンにもソックリ。バリエーションは豊富。カラーはもとよりスタイルもです。ここでは、汎用性の高いカラーと標準的スタイルをベースに、アンテナ(触覚)つきバージョン(アンテニー)を紹介。アンテナつきのほうが釣れるということは(おそらく)ないと思いますが、見ためには、より“カディスっぽく”なるのは確かです。
なお、タイイング上、スタイル上の鍵を握る数字があります。「45」。詳しくは解説の最後に記してありますのでどうぞ。 |
| |
[1]
 |
[2]
 |
| 1. |
ハックルを選びます。ファイバーの長さがフック・ゲイプの1.2〜1.5倍のものが基本です。 |
| 2. |
スキンの根元からむしりとります。 |
|
| |
[3]
 |
[4]
 |
| 3. |
ファイバー根元の微毛の多い部分(ウエッブ)をむしりとります。水切れの悪い部分ですので必ず行う必要があります。除去すると使用可能部分は概ね全体の3分の2ぐらいになります。また、むしらずにシザーズで1mm程度残してカットしギザギザ部分を残す方法もあります。 |
| 4. |
写真はシザーズでカットしたもの。こちらのほうが抜けにくいことは確かです。裏側(光沢のないほう)を上にしてシャンクの真上にセットし巻き留めます。 |
|
| |
[5]
 |
[6]
 |
| 5. |
ボディ材を縒りつけます。少量ずつ親指と人差し指で下へ向かって均一の太さになるように縒りつけていきます。長さはシャンクの3〜4倍程度。また、フックに近い部分で縒りつけようとするとバイスなどが邪魔になるためうまくいきません。スレッドをかなり伸ばして余裕のあるところで縒りつけてください。あとで上にずらせばよいからです。 |
| 6. |
縒りつける際、指に浮力剤の「ドライシェイク」をまぶすと、滑り止めになり、ひじょうに簡単にいきます。もちろん浮力持続力もアップ。 |
|
| |
[7]
 |
[8]
 |
| 7. |
縒りつけたダビング材全体をスッと上にずらします。フライライトは概ねこれでうまくいきますが、素材によってはうまくいかない場合があります。その場合は「ライトケイヒル」を参照して下さい。合理的な方法を紹介してあります。 |
| 8. |
まずハックルの裏側を2〜3回巻きハックルをしっかり立てます。このままボディ材をアイ手前2mm程度のところまで巻いていきます。 |
|
|
|
[9]
 |
[10]
 |
| 9. |
ハックルを巻きます。プライヤーでしっかりはさみ、やや隙間を空けて前方向に巻き進めます。サイズ#16〜12なら、5〜7回巻くのが一般的です。 |
| 10. |
アイ手前で巻き留めます。プライヤーを必ず斜め気味にし2、3回巻き留めます。斜めにすると巻き留めやすく、しかも確実性もアップします。ハックルを巻き留める際の基本です。 |
|
| |
[11]
 |
[12]
 |
| 11. |
アンテナ材を揃えます。ブラウン・マラードの左右ペアの、ほぼ同じ部分から各1本づつカットします。この種のフェザーは内側に湾曲していますし、ストークの左右で色合いが異なることが多いため、ペアから取らないと同様のものが取れません。 |
| 12. |
1本づつ取りつけます。シャンクの上横側にセットし巻き留めます。意外に簡単ですのでお試しを。 |
|
| |
[13]
 |
[14]
 |
| 13. |
もう1本を取りつけてアンテナはOK。長さはシャンクと同程度。ナチュラルなみに長くしすぎると、使用中にティペットに絡む危険性があります。なお、“アンテナは不要”となれば、むろん11〜13のプロセスは割愛して下さい。続いてウイングを取りつけます。 |
| 14. |
エルクヘアをカットします。本数は50〜60本。といっても、いちいち数えることはありません。少々慣れると、掴んだ感触で分かるようになるものです。ちなみにウイングとして実際に取りつけるのは40〜50本が適量。多目にカットしても途中のプロセスで減るものです。 |
|
| |
[15]
 |
[16]
 |
| 15. |
切り取ったヘアの根元部にあるファー(細毛)や短い毛を指で軽く、しごき取ります。この段階で1〜2割は失われますので、適量になります。 |
| 16. |
先端が不揃いですのでスタッカーに入れて揃えます。開口部(ファネル)に回すようにして入れるとスムーズに入ります。 |
|
| |
[17]
 |
[18]
 |
| 17. |
スタッカーを机上で軽くトントントンと4〜6回叩きます。これで先端は揃います。 |
| 18. |
チューブを横にずらすとヘアの先端が出てきますので、これをつかみシャンクにセットします。 |
|
| |
[19]
 |
[20]
 |
| 19. |
まず長さを決めます。ヘアの後端がフック・ベンドから少々突出する程度が基本。 |
| 20. |
左指に持ち替えスレッドで固定します。最初の一巻きはやや緩めにし、二巻目で“ギューッ”と引き絞ると不必要にヘアが立ち上がりません。指先、というより爪先で押さえるようにするとうまくいきます。 |
|
| |
[21]
 |
[22]
 |
| 21. |
前側のヘア全体を後方にまとめて折り返し、アイとの間にスレッドを4〜6回ほど巻きます。アンテナも一緒に後方へ。 |
| 22. |
フィニッシュです。ハーフヒッチツールならアイとアンテナの間に3回、ウイップフィニシャーならウイングを巻き留めた部分でフィニッシュを。 |
|
| |
[23]
 |
[24]
 |
| 23. |
ヘアをカットして完成です。 |
| 24. |
上から見た状態です。広がったウイングの角度は「45度」程度が基本。横から見た場合の立ち上がり角度も同じく「45度」、そしてヘアの本数も45本(前後)、さらに実はスレッドを巻く回数も「45回(程度)」。あくまで“基本”、あくまで“増沢式”ながら、浮力をはじめ様々な機能面でも合理的な理由があります。詳しくはとても記しきれませんので、まあ、当方を信じていただいて、この「45」なる数字を念頭に入れておいてください。 |
|
| メニューへ戻る
|