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ニンフ・フライ
NYMPH FLY

ほとんどが、水生昆虫の幼虫を模したものです。
“ニンフ”といっても、メイフライ・ニンフ、ストーンフライ・ニンフのみならず
トビケラの幼虫、すなわちカディス・ラーバも含みます。
ちなみに“幼虫=NYMPH”はフライ界ならではの定義で、専門的には“幼虫=LARVA”。
このニンフなる用語がフライのタイプ名として登場するのは今世紀初頭のこと。
ドライもウエットも140年ほど前、ストリーマーは110年前ですから実は歴史の浅いタイプです。
かなり以前は、低水温期や濁り時にのみ用いられることが多かったものですが、
最近はドライフライに最適の時期や状況でも多用。すなわち“マルチ対応”。
10種類のタイプとその代表的なパターンを紹介します。

     
  [スタンダード・タイプ]
(イエローオリーブ・ニンフ)

 メイフライ・ニンフを模したもので、ソラックス(胸部)、アブダメン(腹部)、ウイング・ケース(ソラックス・カバー)、テール、レッグとニンフフライの5つの基本構成部位がバランスよくデザインされたタイプ。このデザインは20世紀初頭に米国で完成。以後ニンフの定番スタイルとして定着。最も“ニンフらしい”形状です。写真のパターンは、通常よりソラックス部がかなり短い点にご注目。これは最近の英国式。英国の専門誌で目にした時、極めて新鮮な印象を受けました。スイマーニンフを彷彿させます。
[マルチ・タイプ]
(GRHE)

 “ニンフといえばゴールド・リブド・ヘアズ・イヤ(GRHE)”となるほどに有名。野ウサギ(HARE)の耳部(EAR)の毛を巻いたもので全体的に毛羽立ったラフな印象。本来はメイフライ・ニンフを模したもののようですが(考案者・考案年など不詳)カディスやストーンフライなども含めた幼虫やピューパ全般の特長・印象を集約した“万能型”として多用。リスの毛を使った同質・同様のものなどバリエーションは多数。写真はミディアム調。より明るい「ライト」、より暗い「ダーク」と揃えればそれこそ万能。
   
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  [シンプル・タイプ]
(フェザント・テール・ニンフ)

 上記「GRHE」と並ぶニンフの代表作。20世紀初頭に英国の著名な先達フランク・ソーヤー氏が考案。キジの尾羽とコパーワイヤーだけで巻いたもの。しかもレッグはなくテールは細く短め。遊ぎを得意にするニンフは遊泳中レッグを身体に張りつけているため。また下手につけると違和感の元。さらには沈みにくくもなります。この点はテールも同じ。それゆえの合理的なデザイン。透明度が高く緩い流れで鱒が見える際(サイト・ニンフィング)に多用。ワイヤーだけで巻いたものなど、このタイプはいくつかあります。
[ファジィ・タイプ]
(メルティBHクリーチャー)

 柔軟でやや長めの素材をラフに巻き適度にピックアウトしたタイプ。写真の素材は「メルティ・ファイバー」なるシンセティック素材ですがラビットやマスクラットなどの獣毛類(ファー)も多用されます。いずれのパターンも水中での透過性が抜群。そのため独特の茫洋感を現出。“FUZZY”なる用語はそもそも「毛羽立った」なる意味。人工知能領域でいう「ファジィ=あいまい理論」にも引っかけ“茫洋感=あいまい(な見え方)”で「ファジィ・タイプ」と命名。10年ほど前のことながら結構定着している用語です。
   
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  [イミテーション・タイプ]
(チラカゲロウ・ニンフ)

 特定の幼虫の色や形状などをかなりリアルに模したタイプ。外観的によく似ていますので、かようなフライを満載したフライボックスをフライをご存じない方に見せると“オオ〜ッ!”と感嘆。しかし水中の鱒たちは意外にそうならないようで、上記のGRHEやフェザントテール、それに外観上は“?”となるファジィ・タイプのほうに高い反応を示すもの。ちなみにファジィ・タイプは水中で見るとまさに“虫”。とはいえ適度な忠実模倣は独特のタイイング妙味を味わえ、またかようなフライで釣ると充実感も高いものです。
[ファンシィ・タイプ]
(ブッチャー・ニンフ)

 “FANCY”とは「空想上の」とか「装飾的な」なる意味。つまり鱒の餌生物をモデルやモチーフにするのではなく作者の思うがままに創作したフライのこと。ウエットにはたいへん多く、写真のパターンは「ブッチャー」なる有名ウエットのニンフ・バージョン。赤など自然界にはない原色を使い、また“アトラクター”と同義で使われるため攻撃心を刺激するものと思いがちですが、そうとは限りません。色は水に吸収されますので適度な自然界カラーになることなどザラ。“なぜか効く”パターンがこのタイプに多いものです。
   
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  [リアル・タイプ]
(ストーンフライ・ニンフ)

 上記のイミテーション・タイプよりさらに忠実模倣に徹したタイプ。特に6本のレッグ(脚肢)。かようなフライ満載のフライボックスをフライをご存じない方に見せると感嘆どころか気味悪がります。大型のストーンフライにしばしば採用。実際に脚肢が太く目立ちます。ただし小中型にはあまりお勧めできません。下手をすると“異物”となって違和感の元になりやすいからです。6本肢型のほうが効くということもまずないでしょう。上記GRHEなどピックアウトによっては6本肢風に見えるもの。水中では特にそうです。
[ウイッグル・タイプ]
(ISマラブー)

 柔軟なテール材を長めに取りつけたタイプ。動きを重視したもので人為的な操作や流れの影響により小刻みに動きます。“WIGGLE(揺れ動く)ACTION”といい一部メイフライニンフや稚魚、リーチなども同質の動き。写真は凄腕として名高い清水一郎氏考案。少量のマラブーをひじょうに長く取りつけたもので、その動きは極めて魅惑的。シャンクと同じ程度が一般的ながら動きは比較になりません。清水氏いわく“これはカディス・ピューパのつもり”とのこと。その点はともかく“必釣パターン”であることは確か。
   
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  [ワーム・タイプ]
(ハミ・バグ)

 “WARM”とはイモムシ状の幼虫のこと。カディスやガガンボ、ユスリカなどの幼虫はいずれもワーム型です。水生昆虫のみならず陸生昆虫にもこの形状は多く、蛾の幼虫が代表的。それらも含め高捕食率。陸生昆虫はニンフではありませんが使い方は“ニンフ”。鱒にとっては同じ“餌”。写真のパターンの正式名称は“ハミテージ・バグ”。“HERMITAGE=庵”。当HP[MUJI OUTDOOR WEB]のプロデューサーである庵豊氏考案。CDCの特性を活かした必釣パターン。なお“BUG”とは「虫」の総称。
[シンクレート・タイプ]
(キンギョちゃん)

 止水エリア、とりわけ管理ポンドなどでは模倣性そのものより「沈下速度(SINKRATE)」が問われることが多いもの。しばしば「ペレット(飼育餌)と同じ沈下速度」といわれますが、これだけで効くのは“ウブな”鱒。少々学習を積んだ鱒にはより早くしたり遅くしたりと工夫が必要。さらに賢い鱒には沈下速度はあくまでリード。最終捕食にまで導くトリガーをプラスする必要があり。それらを集積したのが写真のパターン。杉坂研治氏考案。重心バランス、動き(回転も含む)等を十二分に踏まえた傑作。名称も秀逸。
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