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ドライ・フライ
DRY FLY

水面に完全に浮かせるか、ないしは水面に絡ませたり、ぶら下げて使うタイプです。
メイフライやカディスなど水生昆虫の成虫や亜成虫を模したものですが、
浮かせ方によってイマージャーなど、様々なステージや状態を表現することができます。
古くからフライフィッシングの主流となってきたタイプで、現在でもなお不動の人気を保っています。
人気の源は、ひとつに鱒が捕食する瞬間が必ず見えること。
そのうえ、わが国のメイフィールドである渓流向きのパターンがひじょうに多いこと、
また使用する時期が、初夏から秋口までとベスト・シーズンがメインであることなどが挙げられます。
ひじょうに多くのパターンがあり、スタイルも様々。
すなわちタイプもひじょうに多いということですが、多用されるのは14種前後。
代表的なパターンとともに解説します。

     
  [スタンダード・タイプ]
(ライトケイヒル)

 フライを象徴するスタイル。高く浮かせたり水面に張りつかせたり尾部を若干沈ませたりと様々な浮かせ方が可能。水中からの見え方は大きく変わり、その点がこのタイプの特徴です。原型は約140 年前に英国で考案。以後今世紀初頭にかけて数々の名鉤(めいこう)が考案され、その多くは現在でも今なお根強い人気を保っています。「ライトケイヒル」は110 年前の米国で考案。メイフライのみならずカワゲラやガガンボなどクリーム色の種属が主体となる晩春から梅雨前にかけて多用。ひじょうに人気の高いパターンです。
[パラシュート・タイプ]
(クリンクハマー・スペシャル)

 水平に巻かれたハックルは水面の保持力が抜群。早い流れ向きで、わが国の渓流には最適。水面に張りついたり、ぶら下がるタイプですから水中の鱒から発見されやすく、しかもポイント部が完全に水没しますのでフッキングもよいという機能性に富んだタイプです。そもそもはメイフライ・ダンのイミテーションとして約80年前に考案。写真は英国を始め一部欧州でたいへん人気の高いパターン。15年ほど前にオランダ人が考案。ノーテールのためフッキングはさらによく水面下の姿勢も理想的。私や周囲が相当以前から愛用。
   
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  [ヘア・ウイング・タイプ]
(エルクヘア・カディス)

 ディアやエルクなど鹿類のヘアをダウン・ウイング式に取りつけたタイプ。“カディスを模したもの”といわれますが水中からはメイフライダンに見えます。鹿類のヘアは内部が中空構造(スポンジ構造)ゆえ浮力に富みます。高く浮かせるのではなく水面に張りつかせると真価を発揮。そのヘアが水面を巧みにとらえ簡単には沈まなくなりますし水中からの視認性も抜群。エルクヘア・カディス(EHC)は50年ほど前の考案。一般化したのは20年ほど前。同時にフライフィシングの一般化にも大きく貢献した名鉤です。
[ダウン・ウイング・タイプ]
(リッフル・セッジ)

 カディス(セッジ)パターンは100 年ほど前から様々なパターンが考案されてきました。共通しているのはウイングをダウンに取りつける点。ウイング材は古くはフェザー、少し前はヘア、そして現在は人工素材が、少なくともわが国では台頭。写真のパターンはその人工素材(フライウイング・)使用。模様・質感ともリアルそのもの。スタイル自体は100年前から続くオーソドックスなもの。一般渓流向きで浮力も相当高し。ハックルの下側をカットすると水中からは左のヘアウイング・タイプより断然トビケラ風です。
   
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  [ウルフ・タイプ]
(ブロンズ・ウルフ)

 しばしば「激流用」とキャッチフレーズつきで紹介されるように高い浮力持続力を有しています。ひとえに厚く巻かれたハックルと鹿毛のテールによるもの。波に激しくもまれようが少々の波を被ろうが、ものともしません。「リー・ウルフ」なる米国の有名な先達が考案。よく“WOLF”と間違えられますが、“MR.WULFF”です。写真のパターンは米国ではある種の「MOTH(蛾)」のイミテーションに最適といわれますが、日本ではフタスジモンカゲロウの色相。ヒゲナガのイブニングライズにもよく効きます。
[ハンピー・タイプ]
(フォーム・ハンピー)

 ウルフ・タイプと並び激流用フライとして有名。違いはシェル・バック型のオーバーボディ。際どく水面をとらえた時の浮力持続力は上。ウルフともどもサイズは#12〜10が最も合理的。しかも浮力剤を全体に施して高く浮かせるのではなく(そうするとドラッグがひじょうに掛かりやすくなります)水面に張りつかせて使用。本来の機能性が発揮されます。激流では水中から目立たさせることが肝心だからです。写真のパターンはオーバーボディにフォームを使用。旧来の鹿毛より浮力、巻きやすさ等で勝ります。
   
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  [スペントウイング・タイプ]
(ランズ・パティキュラ)

 ウイングを水平に広げたタイプ。今世紀初頭に英国で数多くの名鉤が考案されました。そもそもは産卵を終えて流されるメイフライ・スピナーを模したもので、穏やかな流れ用。日本の一部でも古くからこのタイプの愛好者がいますが、日本で使われるものは本来の英国型よりハックルも断然厚く早い流れ用です。水面にピタッと張りついた状態はドラッグも掛かりにくく、また水中からも相当に目立ちます。写真のパターンは今世紀初頭に活躍した「ウイリアム・ラン」なる著名な先達の作。それを“日本型”に改良したものです。
[スペント・スピナー・タイプ]
(フラット・スピナー)

 ウイングを左右に広げた個体はスピナーのみならずダンやイマージャーにもひじょうに多く、時に鱒の集中ライズを誘発。かような状況では左のようなハックルを厚く巻いたパターンはまず通用しません。元凶は垂直ハックル。特に下半分が水面に没すると違和感が凄く鱒は拒否。写真のフライはその違和感の元となるハックルの下側をフラットにカットしたもの。こうするとハックルは水中から見るとウイングに見えます。それも相当にリアル。左のタイプより断然スピナー風。ライズ時の効き目は問題になりません。
   
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  [ノーハックル・ダン・タイプ]
(ノーハックル・オリーブ・ダン)

 様々な意味で「傑作」というべきタイプ。ウイング下部が独特のカーブ状を描いており、この形状がこのタイプならではの独自の性能を支えています。水面に際どく浮く構造で水面上からはむろん水中からもメイフライダンそっくり。30年ほど前にダグ・スイッシャー&カール・リチャーズなる両氏によって発案。その後、数人の著名な方々の手によって改良され現在のスタイルに。このウイングの取りつけはたいへん難しく難易度でいえば超A級。写真は鈴木寿氏の手によるもの。完璧。このレベルで巻ける方は何人もおりません。
[コンパラダン・タイプ]
(コンパラ・クリーミィ・ダン)

 左と同じくノーハックル。こちらは左右に扇状に開いたヘア・ウイングの下部とボディ部が水面を支えます。米国のアル・カウシさんなる有名な方が30年ほど前、とあるローカル・フライを改良して考案。メイフライダン・イミテーションですが外観はあまり似ていません。しかし水中から見るとソックリ。スペント・スピナーにもよく似ています。ヘアの下部が水面に接するとウイングに見えるため。上のフライと同じ原理。左ともどもライズ用ですがタイイングは断然簡単。そうした点もあり、わが国でも多用されています。
   
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  [ソラックス・ダン・タイプ]
(ソラックス・ラスティ・ダン)

 考案者はビンセント・マリナロ氏。米国の著名先達。スタンダード・タイプを水面に浮かせ水中からの視点で観察し“メイフライ・ダンには全然似ていない”と結論(実際その通り)。その改良型として考案したものです。50年以上前のこと。スタンダードとの違いは第一にハックルを薄く、しかもボディ中央部に巻いた点。続いて左右にきちんと分けたスプリット・テール(マリナロ氏が創始)、そしてウイングの位置と角度。これらにより確かにソックリ。基本的にライズ用ですが一般渓流のパイロットフライとしても有効です。
[パーマーハックル・タイプ]
(シャドウ・メイ)

 ハックルをフックシャンク全体に密に巻いたタイプ。浮力は抜群。しかも水面に完全に高く浮かせる(ハイフロート)ことができます。その分、水中からは目立ちにくいものですが風などの影響を受けると絶妙にローリング(横揺れ)。羽ばたくメイフライのよう。動くものほど鱒に狙われやすいものですから、時に滅法効きます。原型は17世紀の「釣魚大全」にすでにあります。写真のパターンの考案者はピーター・ディーン氏。知る人ぞ知る英国の先達。他の数多いパーマーハックル・パターンをデザイン面で圧倒します。
   
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  [エクステンド・ボディ・タイプ]
(フォーム・イエロー・ドレイク)

 大型フライに多用されるスタイルです。フックシャンクよりボディを長く伸ばした(EXTEND)ものでフック自体は軽めゆえ浮力の心配は無用。また透過性に優れたリアルなボディが作れるという利点もあります。水生昆虫のボディはみな優透過性。米国には鹿毛を使ったパターンが数多くありますがボディが固くなりすぎて日本の小中型鱒向きではなし。フッキングの障壁となります。極力柔軟にすることが大テーマで、柔らかいフォームを使用した写真のパターンはその点で完璧。適度な透過性もあり、そして浮力は抜群。
[ディタッチド・ボディ・タイプ]
(ランディング・メイ)

 左と同じくボディ部が突出したスタイル。“DETACHED”とは「分離した」という意味。エクステンドとほとんど同義ながら、厳密にはボディ全体がシャンク部と完全に分離したタイプのこと。左は一部がシャンク・ボディになっていますのでエクステンド。エクステンド式のルーツはこのディタッチド式。フェザーのファイバーを立て、それを下方向にまとめた「リバースド・フェザー・ボディ」が創始。写真のパターンはその方法。可憐で洗練された雰囲気はまさしくメイフライ。久野康弘氏作。センス・技巧ともに抜群です。
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