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リーダー&ティペット
LEADER & TIPPET

 他の釣りの用語でいうと、「リーダー」はまさに「釣り糸」、「ティペット」は「ハリス(鉤素)」となります。“ハリス”とは「釣りバリに結ぶ先端の釣り糸」のこと。ただし、リーダーはフライ専用にデザインされたもので、ティペットと違い、他の釣りの釣り糸をそのまま流用することはできません。というのは中間部が滑らかな先細り状、すなわち「テーパー形状」になっているからです。フライラインと同じ形状ですが、この形状は力の伝達効率にたいへん優れており、ターン・オーバーを可能にする源となっています。そのテーパー部の後端は、太い「バット部」、先端は細い「ティペット部」と続きます。すなわち大きく3つの“パーツ”から成り立つ構造ですが、かような“釣り糸”を使う釣りは他にはありません。この3つのパーツの中で、バット部やテーパー部を継ぎ足したり交換することは皆無に等しいものですが、ティペット部はそれこそ頻繁に行います。ですから、ティペットだけは単独の製品として別売されているわけです。 このティペットは単一素材、単一の細さ(太さ)の、いわゆる「モノ・フィラメント(MONO-FILAMENT)」で、簡単にいえば“普通の釣り糸”です。リーダーは不可能でも、このテイペットは、他の釣り糸の流用が可能になる理由がお解りになったと思います。 リーダーはたくさんの種類があります。その要素を列挙すると、(1)ティペット部の太さ(2)素材(3)長さ(4)テーパーデザイン(5)色などです。これらが組み合わさるため自ずと種類は増えるわけです。ティペットは(1)太さ(2)素材(3)色の3つと少なめ。スプールに巻かれて製品化されており、その全長も要素といえば要素となりますが、性能そのものに関わるものではありませんので通常は除外。これらの中で(1)太さと(2)素材は、リーダー、ティペットともに共通した要素ですので、まずその2点から解説します。

 
[太さと規格]
 
 リーダーは先端のテペット部の径に国際規格があり、この規格によって分類・表示がなされています。テペットもむろん同じです。その表示には「 X(エックス)表記」がなされ、数値が増えるほど細くなり、現在最も細いものは10X、逆に最も太いのはー10X(マイナス10X)です。日本で使われるのはー4X以下で、渓流や湖に限定するなら2X以下、通常の流れのある一般渓流でしたら、5〜6Xが多用されています。基本的には対象魚や使用するフライのサイズと比例しますが、鱒の選別眼が研ぎ澄まされるミッジングなどの「日中のライズフィッシング」では、8X以下の極細を使うことが普通です。
 1X違うと径は、0.001インチ(0.0254mm)違います。ちなみに、この「0.0254mm」なる数値は10Xの径(右写真左)。髪の毛(写真右)より細いどころか、まるで“クモの糸”。9Xは約0.051mm。7X(写真中)で“やっと”0.1mmです。ちなみに写真の2本のティペットはマーカーで着色。7Xがツイスト状に見えるのはそのためです。
 
[素材(1)フロロカーボンの特性]
 
 素材には「ナイロン」と「フロロカーボン(以下フロロと略)」があり、見た目には判別できませんが性質は相当に違います。フロロは基本的には水中用で、その理由は(1)比重がナイロンより重い(2)光の屈折率がナイロンより小さい(3)硬軟度がナイロンより硬質だからです。(2)(3)について補足すれば、光の屈折率が小さいと水中では目立ちにくくなり、硬質だと魚信(アタリ)が感知しやすく、また合わせも効きやすくなります。いずれも“ナイロンより若干”程度ながら、その“若干”が水中では有利に働くことが多いものです。
 また総体的にナイロンよりタフです。劣化要因である吸水性はゼロですし(ナイロンは若干の吸水性あり)、同じく紫外線によるダメージも少ないもの(ナイロンはかなり弱い)。さらには分子構造の関係で岩などとの擦れにも強いものです(ナイロンは弱い)。これらも水中では有利な条件となりますが、必ずしも水中用としてのみならず、ティペットに限れば、ミッジングなどシビアなマッチ・ザ・ハッチの釣り(日中のライズフィッシング)にも多用されています(右写真)。フライから5cm程度でも沈めたほうが、鱒に与える違和感は軽減されるためなどの理由によるものですが、この点で(2)と(3)の特性が有利に作用します。
 
[素材(2)ナイロンの特性]
 
 しかしながら、通常のドライフライなど水面の釣りならナイロンのほうが上。沈みにくく、かつ柔軟なほうがドラッグ面では有利ですし、ナイロンのもつ若干の伸縮性(フロロはゼロ)はフッキング時の衝撃を緩和・吸収してくれます。水中なら水の粘性が作用するため衝撃は相当に弱まりますが、水面(大気中)はそうはいきません。また水中狙いでも、柔軟なほうが流れに対する対応力は勝りますのでドラッグは掛かりにくくなります。
 そうした理由で、これまたシビアな流水エリアでの「サイト・ニンフィング」ではナイロンを多用する方も少なくありません。それに上昇流や下降流などが複雑に絡みあった流れなら、下降流にのり沈み始めた際の沈下速度は、比重などより柔軟性が問われることも多いもの。ひとえに水に馴染みやすいからです。さらに、柔軟なほうが巻き癖はつきにくく、また取りやすいものです。
 
[リーダーの長さ]
  [リーダーのフォーミュラ]
 市販のリーダーの長さは現在のところ最短で6ft、最長で16ft。そのレンジに約10種ほどあります。水面、水中を問わずスタンダードな長さは「9〜12ft」。類型的にいうと、長ければターンオーバーや投射コントロール面で不利になり、短ければドラッグ面で不利になります。また短いと(短すぎると)時にオーバーターンを起こしかねません。いずれも太さや結ぶフライのサイズや重量との兼ね合いもあり、一概にそう言い切れるものではありませんが基本的にはそうです。また「フォーミュラ・デザイン」によっても違いは出ます。この“FORMULA”とは、バット部、テーパー部、ティペット部の比率規格のことです。主に3種類あり、「スタンダード(テーパー)・タイプ」は「バット部5:テーパー部2.5:ティペット部:2.5」です。これを基準に、テーパー部を長くしバット部を短めにすると「スローテーパー・タイプ」、ティペット部を短めにしバット部を長めにすると「ヘビーテーパー・タイプ」となります。スロー・タイプはナチュラル・ドリフト面で、ヘビー・タイプはターン・オーバー面でそれぞれ優位性を発揮します。また右写真のように、パッケージにこのフォーミュラを表示したものもあります。ちなみに写真の製品はスロー・タイプです。
 
[ポンド・テスト]
 
 製品によって「ポンド・テスト」なる数値が表示されています。衡量単位の「ポンド」でして、“Lb(エル・ビー)”なる記号で表示されます。写真の「Lb.Test」「Test LB」なる表記がそれで、ティペット部の強度を表すものです。数値が大きいほど強いとなりますが、だからといって、この数値自体を選択基準にするのは短絡です。この数値はあくまで実験数値。新品製品の一方を固定し、片端に徐々に重量を加え断裂した際の数値を明示したもので、実際のフィールドで鱒を相手にすると実験どおりにはとてもいきません。2〜4Lbの差など関係なくなります。ですから、あくまで“参考数値”。7〜8Xなら30cmまでのイワナやヤマメでしたら問題なく使えるはずです。なお「1ポンド:0.454kg」。
 
[リーダーのカラー]
 
 リーダーはクリアータイプが主流ですが、カラードもいくつかあります。左写真の製品はダークブラウン。目立ちにくい色で光の反射効率を抑える効果がありますし紫外線カット機能ももちます。ティペット部は色が薄めです。右写真は、逆に目立ちやすい蛍光色を使ったもの。どちらもティペット部はクリアーにし、あくまで“人間にとっての”目立ちやすさを意図したものです。実際、相当目立ちます。ニンフフィッシングやウエットフィッシングでは時に視認性が求められますが、そうした点から基本的には水中用。しかし水面用にも用いられます。特に中遠投した際などはドラッグの程度を確認する際に有効です。
 
[ティペット]
 
 左写真は各社の1X〜9Xまでのティペットです。スプールに巻かれた長さは、「30ft」「30m」「50m」「90m」の4種。径やポンドテストなどは各社のリーダーの表記に準じます。基本的には同じと考えていいでしょう。
 右写真は「アユ釣り」に使われる“ティペット”で、ミッジングなどに多用されます。アユ釣りは、極細のティペットが求められる必要度はフライと同程度がそれ以上、希求される強度はフライ以上です。そのため強度は抜群です。ただし、価格もそれに比例して“抜群”となりますので使用するか否かは各自のご判断。
 ちなみに、フライ以外の釣り糸は「号数」で表示されます。フライ用ティペットとは逆に数値が大きくなるほど太くなり「1号」は「5X」、「0.1号」は「9〜10X」に相当します
 
[連結機能]
  [ティペットを結ぶ際の留意点]
 ティペット・スプールには連結機能のついた製品もあります。サイズごとに2〜4個を連結させておくと、はるかに使いやすいもの。連結機能がないものは、スプール中央のホールに廃棄用ラインを通して結んでおき収納。なお、ティペットを継ぎ足したり結び替える際、最低でも30cmの長さは必要です。というのは、短ければ短いほどティペットの強度は低下するものだからです。できれば50cm以上を。継ぎ足したティペットがフライ交換などを繰り返して短くなった場合、そこから新たに継ぎ足すのではなく、最初に継ぎ足した部分からカットして結ぶべきです。
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