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フライ・リール
FLY REEL

 フライリールは、外観にしろ内部の機構にしろシンプルなものがほとんどでした。“過去形”であるのは、最近はユニークなデザインや相当に複雑な機構のものも増えているからです。我々ユーザーの嗜好も多様化し、また対象魚やフィールドの広がりがニュータイプのリールの開発を促しているからですが、とはいえ、少なくとも内部機構は他の釣り用リールに比べれば全般的にシンプルです。ロッドと同じくキャスティング頻度との関係で軽量化が大きなテーマであり、またフッキングした魚とリールでやりとりするケースが少ないなどの理由によるものです。
 もちろん海や海外の大型魚を相手にする場合にはリールとのやりとりは避けられませんが、それでも電動式リールはむろん、ギア効率の高いリールを使うことなど、皆無に近いほどに希です。そういう意味ではやはり“SIMPLE”。観点を変えれば、“1対1”のやりとりに徹底してこだわっているということですが、そうした点にフライフィッシングならではの独特の理念や美学を感じとることができます。すなわち“機械に頼ること”を潔しとしないわけです。とはいえフライリールは唯一のメカニカル・タックル。触れているだけで楽しいものです。ロッド以上に愛着を感じるという方が多いのは、そうした点にあるのかもしれません。
 ちなみに、ロッドは“友人”、リールは“息子”のイメージ。あくまで当方なりの感覚ですが、そんな違いが確かにあります。

 
[サイズとキャパシティ]
 
 サイズは小型の3番以下用から大型の12番以上用まであります。もちろん直径も厚みも重量も大きく違いますので、使用するロッド&ラインに合わせることが必要です。通常は「#3〜4用」とか「#7〜8」用と、2番程度のキャパシティ・レンジをもちます。「#3〜4用」に#2や#5といった1番違いならバッキングラインの量を調整することなどで対応は(まあ)無理ではありませんが、2番違いは無理。リールキャパシティの問題以上にロッドとのバランス上でです。
 右写真は左から、最もスタンダードなスタイルの#4〜5用、S字型クランク・ハンドルが特徴的なクラシカル・スタイルの#7〜8用、そして「ラージ・アーバー」といわれるスタイルの#10以上用です。直径の違いはさほどではありませんが、その分、厚みが違います。ラージアーバーは中央部を空洞化したもので、巻きグセがつきにくく巻き取り速度も早いという特徴を有しています。本来は、そうした機能性が強く求められる大型リール用に開発されたものですが、最近は中小型用モデルもラインナップ。斬新なデザインともあいまって人気が急上昇しています。
 
[基本構造と部分名称]
 
 部分名称は上の通りです。左は外部構造、右は内部構造です。たくさんの「ホール」は軽量化と水切れの良さを意図したもの、「ドラッグ・ノブ」はスプール回転調節機能(ドラッグ)の締緩調整用、「リリース・ノブ」はハウジング部とスプール部の着脱用です。外観構造は、モデルを問わず概ね似たようなものですが、内部構造は千差万別です。写真のモデルは、いわゆる「ラチェット・ドラッグ機構」をもつタイプです。
 
[ドラッグ機構]
 
 「ドラッグ機構」とは「ブレーキ機能」です。スプールの回転に一定の制御を掛けるもので、これがないとどうなるかというと、ポイントを前にしてラインを適量出すために思い切り引っ張ると、スプールは空回りしてラインを巻き込み使用不能となります。これが「バックラッシュ」です(写真左)。ですから(最低でもそのためだけ用にも)、この機構は必ず付いています。その制御力が予め設定されていて調整機能のないものと、あるものとに大別されます。
 右写真の左は調整機能のないタイプ、右は備えたタイプです。備えたモデルはボディ部の裏面や側面にドラッグ・ノブが必ず付いています。#4以下の小型リールには付いていないモデルも多いものですが淡水の20〜27cm程度の鱒を相手にするなら全く問題ありません。ただし淡水でも35〜40cmクラスになると“あったほうがよく”、大河川や湖、それに海用ともなると“必須”となります。大型魚の場合、ドラッグを通常よりきつめに調整し、そのファイトを抑制気味にしないとランディングにたいへん手間どるか、あるいは走られすぎて障害物にテイペット部が擦れて切れる危険性が増すからです。
 
[ドラッグ機構のタイプ]
 
 大きくは「ラチェット(クリック)型」と「ディスク型」に大別されます。左写真の「ラチェット型」はボディ部のクリックなる“ツメ”がスプールのギアに噛むことでブレーキをかけますが、そのクリック・テンションを板バネによって調整するものです。
 「ディスク型」にはさらに様々なタイプがありますが、右写真のモデルはハウジング部のギアが制御機能を果たします。このテンションを上下から締緩させてドラッグを調整するものです。両者を比較した場合、大型魚相手を前提にするなら「ディスク型」です。“超キツメ”から“超ユルメ”まで、すなわち調整力の幅が大きいことと微調整が効きやすいからです。シンプルなラチェット型はシンプルゆえに、どうしても限界が生じます。ですから#7〜8以上ならディスク型を。実際、それ以上になるとラチェット型のモデルは激減します。
 
[ラチェット(クリック)音]
 
 多くのリールはリーリングを行うと、“ジジジジジ”とか“チチチチチ”といったあの独特の音色が生じます。クリックがギアと“ON/OFF”することによって生じますが、ラチェット・ドラッグ型のモデルは機構上、必ずこの音が生じます。ディスク型は、この音色用に小さなクリックが付いているものがほとんどです。上項目「ドラッグ機構のタイプ」の右写真のモデルは左のほうにスプリングつきで設置されています。ディスク型には、この音色のしないサイレント・タイプもありますし自分でサイレント化することもできます。右写真は、上写真のスプリングを外した状態。これで消音型になります。ディスク型はモデルによってこの方式が違いますので、メーカーやプロショップにお問い合せを。
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