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トビケラ
CADDIS/SEDGE

[1.2. ブラック・セッジ2種]
 どちらもサイズは6〜7mmの小型種です。色は全身、ほぼブラック。トビケラは羽翅の色とボディの色が同調する(ほぼ同じ)という傾向があります(最近、気がつきました)。むろん例外はありますが概ねそう。ですから写真の2種ともボディは黒褐色です。実は、この黒系小型のトビケラは相当種おり、幼虫段階から飼育でもしているならともかく(専門家筋はそうして同定してるようです)、成虫を見ただけで判別するのは困難。ましてや写真だとなおさらです。2つを比べて違いが分かりますか?ほとんどの方が無理でしょう。ただし明らかに別種です。違いは2点。まず、アンテナ(触覚)の長さと太さが違います。次に中肢の色。左は白っぽい。ですから別種。たぶん左は「グマガトビケラ」、右は「マルツツトビケラの一種」ではないかと思いますが安易な同定はやめておきます。「ブラック・カディス」ないしは「ブラック・リトル(マイクロ)・セッジ」で充分。ただし、黒系小型種が初夏から夏にかけて相当量が羽化するのは確か。夕刻から夜にかけてが多いものですが短期・短時間に一斉羽化することもあり、当然、鱒の激しいライズを誘発します。その時期は、メイフライやガガンボなどのハッチ(羽化)と同時進行することも多く(複合ハッチといいます)、より目立つメイフライにとかく眼がいきやすいものですが(“MASKING”といいます)、かような場合、黒系の#18前後を使うと“なぜか効く”という経験談は多いもの。実は一年中を通してマイクロサイズの黒系フライは“なぜか効く”傾向がはっきりあります。いつでもどこでもです。
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[3. コカクツツトビケラ]
 体長は7〜9mm。これも黒系小型種ながらアンテナ基部に密生する微毛が格好の判別材料。また腹部が濃緑色です(右写真)。黒褐色のものもおり♂♀の違い(エルモンヒラタカゲロウのように)と思われるかもしれませんが、どうも違うようです。ちなみに腹部が緑系の種は数種おり、蛹(ピューパ)段階や幼虫(ラーバ)段階も含めると相当種にのぼります。とりわけピューパ。鮮やかな緑色の種が多いもの。古くからカディス・ピューパというと英米も含めて鮮緑色が定番となっている理由です(コカクツツのピューパは黄色系ですが)。コカクツツトビケラは生息域が広く、また個体数の多さでも指折りの種です。里川から山岳渓流まで生息。一般的な羽化期は4〜11月といわれ、かなり長期です。実際、山地などでは8月の真夏期にもかなり見かけますが、短期間に一斉羽化するタイプではなく長期にわたって散発的に羽化が続くタイプということです。これはこれで重要度が高いといえます。
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[4.5. シナモン・セッジ2種]
 左は「ニンギョウトビケラ」、右は「エグリトビケラの一種」にほぼ間違いありません。左はストロボ撮影により実際よりかなり明度が高くなっているため敢えて“CINNAMON SEDGE”としました。右は種の同定が困難。エグリトビケラ属には外観がソックリの種がかなりいます。ニンギョウトビケラもエグリトビケラ科ですが属は違います(ニンギョウトビケラ属)。一見すると同じにも見えますが姿勢が違います。静止時に姿勢を低くし太いアンテナ部の先端をピタッとつけるのはニンギョウトビケラの特徴。“シナモン色”とは香味料の、あのシナモンの色。和名は「肉桂色」、というより「薄茶色」のほうがピンとくるでしょう。英米あたりでは定着した呼称で同名のパターンも多数あります。左右とも羽翅のみならず全身も同じ色(右は腹部が見えます)。この色もまたトビケラの象徴色です。
  サイズは左12mm、右18mm。左は中型サイズ、右は大型サイズです。羽化期ですがニンギョウトビケラは5〜10月に、エグリトビケラは概ね6〜8月の夏期に羽化する種が多いようです。
   
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  [6. ウルマーシマトビケラ]

 サイズは12〜14mm。生息域がたいへん広く個体数も膨大、さらには羽化期は晩春から晩秋までと長いため、我々アングラーが眼にするトビケラの中で、その頻度はトップランク。いつでもどこでも目にしますし、実際、自販機の常連(この写真も自販機で撮影)。羽化期が長いということは、短期集中羽化はしない、すなわち鱒の集中ライズを誘発する種ではないとなりますが、逆に通年での捕食量は膨大のはず。ボディは灰褐色で、これもトビケラの象徴色です。
[7. モットルド・ジンジャー・セッジ]

 サイズ20mmの大型種。羽翅に独特の斑模様があり、おそらく「オオナガレトビケラ」ではないかと思いますが、少々自信がないため“MOTTLED(斑模様)”としました。私の生まれ故郷にして頻繁に出かける長野県の山岳渓流域では、毎年6〜7月に必ずといっていいほど目にします。ちなみに、とある専門書によるとオオナガレの詳しい生態は不明ながら山岳地帯に多いとのこと。ボディは羽翅と同じく濃いめのジンジャー色です。
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[8. ヒゲナガカワトビケラ]
 最小でも20mm、最大で30mmになる大型種。左は上から、右は下からの写真。横から見ると上記ウルマーシマトビケラに似た風。“スペックルド(SPECKLED)”とか“マーブルド(MARBLED)”といわれる羽翅の模様もです。腹部の色が灰褐色である点も同じ。ただし胸部は違い、ヒゲナガはジンジャー系(橙色といってもいいほど)。内側に半透明の白っぽい羽翅が見えます(後翅)。前翅(上側の羽翅)より短いため“小さく目立たないウイング”と思いがちですが、広げると意外に幅広の羽翅。この点は色や質感も含め全てのトビケラに共通。ヒゲナガの場合、大きいですから飛翔するシーンを眼にすると“白いトビケラ”という印象を持つほどに目立つもの。羽化時間帯も暗くなってからがほとんどですから、より一層、そう感じるものです。
 その羽化期は一般的には5〜9月。初夏から夏にかけての集中羽化は有名で、以前は“イブニング・ライズ”といえば“ヒゲナガ”となるほどでした。夏期など“イブニング”というより“夜”、それどころか“真夜中”や“夜明け前”に起きることのほうが多く、夜を徹してライズを待つ方々も多かったものです。過去形であるのは最近、あまりその種の話を聞かないため。とはいえ絶対数が多いことは確か。また、ひとたび集中羽化が始まると鱒が狂乱状態になることも確か。たぶん相当に美味いんでしょう(幼虫は佃煮になっているほど)。それに羽化時のピューパは独特の臭いをだします。空腹時にウナギの蒲焼や焼肉の匂いを嗅ぐようなものゆえ、けだし当然かと思います。
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