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トビケラの変態ステージと
フライ・パターン

トビケラはカゲロウやカワゲラに比べれば“新参”の水生昆虫です。
500年前のフライ文献にカゲロウやカワゲラのパターンは載っていますが、トビケラはありません。
注目されるようになったのは170年ほど前から。
今日では最も重要なステージとして認識されている蛹(ピューパ)にスポットがあたったのは
ほんの30〜40年前のことです。
トビケラは卵、幼虫、蛹、そして成虫と、いわゆる「完全変態」をする昆虫です。
ちなみに、蛹の段階をもたないカゲロウやカワゲラの場合は「不完全変態」。
トンボやイナゴもそうです。
日本の代表種であるヒゲナガガカワトビケラ(略称:ヒゲナガ)とコガタシマトビケラの
生態を紹介しながら、各ステージのフライパターンを紹介します。

     
  1. 幼虫(ラーバ/LARVA)
*カディス・ラーバはイモムシ型
[ヒゲナガ・ピーコック・ラーバ]
*適度にリアルな
セミ・リアルイミテーション系
 

ヒゲナガは20〜35mにもなる最大級のトビケラで和名は「黒川虫」。“黒い川虫”の意。渓流釣りの格好の餌でもあります。

6本の脚を忠実に取りつけたものより適度に省略・誇張したもののほうが効き目はよいもの。単純形状のものは特にそうです。
     
  2-a. 巣の中の蛹(ピューパ)
*石室内で安心して蛹化(ようか)


多くのトビケラは小石を固めて巣を作り、その中で蛹に。外敵から身を守るため。写真はコガタシマトビケラ。個体数の多い種です。
2-b. 巣の中の蛹(成熟段階)
*成熟すると色は大きく変化


成熟度が進むにつれ色は変化。ヒゲナガのように幼虫がダークの種はライトに、逆にコガタシマのように幼虫がライト調はダークに。
     
  3. 巣を食い破って
浮上せんとする蛹

*いよいよ始まる決死の浮上
[カディス・ピューパ
(CADDIS PUPA)]

*リアルさが増す
シンボリック部分の強調
 

羽化を迎えた蛹は水面目ざして浮上を開始。天敵である鱒の鋭い目と激しい水流は覚悟の上。落後する個体も相当数にのぼります。

ボディはシンプル&オーソドックスながらシンボリックなアイ(両眼)と長いアンテナを強調するだけで、より“らしく=リアル”に。
     
  4. 水面に浮いた蛹
*本来ならこのまま
羽化に入りますが…
[フローティング・カディス・
ピューパ]

*水面に絶妙に絡む秀逸なデザイン
 

写真の個体は仰向け状態(ヒゲナガ)。実際には多発しているのでしょう。長いアンテナと丈夫そうな脚、光るボディにご注目。

写真のパターンの正式名称は「マシュマロ・ピューパ」。才人として名高い島崎憲司郎さん考案。デザインも効き目も抜群です。
     
  5. 脱皮をほぼ終えた成虫
*脱皮しきれない個体もむろん発生
[トレイリング・シャック・カディス]
*テール付きエルクヘア・カディス
のようなもの
 

写真の個体は脱皮に成功しましたが、シャックをぶら下げたままの個体も発生します。トビケラはカゲロウより断然少ないようですが。

シャック材は先端を不揃いにしたほうがリアル。浮力も水中からの見え方もたいへんよく、ドライフライとして一級の性能です。
     
  6. 羽化に成功した成虫と脱皮殻
*成虫なみに立派な餌となる脱皮殻

脱皮殻にご注目。“蛹以上に蛹らしい”形状。透過性も抜群。鱒にとっては魅惑的。むろん餌となり、飽食されるケースもあります。
[ソフト・ハックル・ウエット]
*シンプルゆえに効く伝統的スタイル

写真4はむろん6の脱皮殻にもソックリ。ついでに日本式毛バリにもソックリ。シンプルだからこそ効き目が増幅される典型例です。
     
  7. 樹葉にとまる成虫
*行動開始は夕暮れ以降

ヒゲナガはわが国ではたいへんポピュラー。特に初夏から夏期にかけて夕刻以降に起きるイブンニグ・ライズの主役です。
[ヒゲナガ・アダルト]
*日本のスタンダード・スタイル

気鋭のエキスパート嶋崎了氏作。ヒゲナガのパターンは以前まで外国産の流用一辺倒でした。最近、国産が台頭。ウイング材が共通。
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