無印良品キャンプ場 外あそび
未知の生き物に遭遇するかも… 生き物に会いに行く 後藤健志◎公務員 No.060
「今から、山原(やんばる)へ行かない? 今夜は生き物を見るには良さそうだよ」
週末の夕方に知人から誘われた。彼の勘はなかなか良くあたる。
こんなときには誘われるがまま遊びに出るにかぎる。
カメラ、懐中電灯、野帳をリュックサックに放り込んで、いざ山原へ。

車で林道を走っているとあちこちからヤンバルクイナの鳴き声が聞こえた。
その中の一羽は車からかなり近い所で鳴いている。降りて探すと、タイワンハンノキの枝にとまっているヤンバルクイナがいた。飛べない鳥のヤンバルクイナは木に登って寝る。よく考えると今までみたヤンバルクイナの姿は、一瞬道路を横切ったり、山中で走り去る後ろ姿だったりで、じっくり観察できたのは今回が初めてだ。

しばらく車を走らせて目的の沢に到着した。沢靴に履き替え、リュックを背負い、ヘッドライトを装着し、沢を進む。
3時間ほどの沢登りでイシカワガエルやハナサキガエルなどに出会うことができた。
その後、ケナガネズミの出るというポイントへ移動した。ここには何回か来ているのだが、未だケナガネズミには会えていない。というか僕は、沖縄に来て以来今までケナガネズミに一度も会ったことがない。ずっと会いたいと思っている、言わば幻のネズミだ。
山道をゆっくり歩いていくとポリポリという何かを齧る音が聞こえてきた。
ふとライトを向けると、子猫サイズのふわふわした奴が座っている。ぱっと目が合ったかと思うと飛び跳ねながら走り去っていってしまった。一瞬見えた白い尻尾が印象的だった。カメラを向ける余裕もなくひたすらドキドキするだけで、初めてのケナガネズミとの出会いは終わってしまった。
一晩で、とっても珍しい生き物にたくさん出会うことができた。一晩中探し回っても何も見つけられない日もあるのだが、その日は、大満足な夜となった。

生き物に会いに行くのはとても楽しい。
図鑑や写真集を眺めていると、様々な生き物が載っていて自分もそういった生き物に会いに行きたい衝動に駆られる。
もしかしたら、まだ誰にも知られていない未知の生き物に遭遇することだってあるかもしれない。なんて事を考えると楽しくて仕方がない。
実際に捕まえた虫が新種だったなんて話もあるから油断できない。

学生時代から、いろいろな調査の手伝いに同行して経験を積んできた。
洞窟、干潟、湿地、ウタキ、サトウキビ畑、様々な環境を見て回った。
土壌動物、昆虫、鳥、哺乳類、植物、貝、両生類、爬虫類など、いろいろな生き物を扱った。そのおかげでだいぶ生き物を探す感覚もつかめるようになってきたと思う。

しかし、今でも様々な人と野外に出かけてみると、皆すばらしい感覚をもっていて、思ってもないような所から面白いものを見つけてきたりする。普段から頻繁に通っているフィールドでも、次々と僕の知らない生き物が見つかる。
僕はまだ、面白い生き物をたくさん見逃しているようだ。

これからも経験を積み、生き物に出会う為の感覚を磨いて、面白い生き物に気付いてあげられるようになっていきたいと思う。まだまだ未熟だけれど、ひとまず今は、自分の持っている精一杯の感覚を駆使して生き物と出会えることを楽しんでいきたい。

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後藤健志
公務員
1981年生まれ
幼少の頃は昆虫少年として過ごす。沖縄の生き物に憧れて琉球大学に進学し、生物について学び、沖縄県内の小中学校や博物館などの自然観察会や標本教室の講師を務める。最近では沖縄藁算研究会に所属し、沖縄の伝統民具である藁算(わらざん)の復元や製作にも取り組んでいる。