無印良品キャンプ場 外あそび
「川」のこと、忘れていませんか。川ガキたちと出会い、思うこと 村山嘉昭◎フォトエコロジスト No.024
 梅雨が明け、夏を知らせるアブラセミの鳴き声が響き始めると、水辺から「川ガキ」たちのにぎやかな歓声が聞こえてくるようになります。
 全国各地に分布するこの生きものは、水質良好な流れを好み、魚をはじめとする水生生物が豊富なところに多く生息しています。そのため自然環境の豊かさを知る指標と言えるかもしれません。
 代表的な遊びである「飛び込み」は、ちょっぴりの勇気自慢と負けず嫌いの度胸試し。高さやジャンプのスタイルはさまざまですが、水面に現れたどの顔も誇らしげです。なかには高さ10メートルを越える橋から飛び込む強者もいて、年少者のあこがれの存在になっています。
 彼・彼女らの飛び込む様子を眺めていると「自分も」と思いはじめるかもしれませんが、無理は禁物。「川ガキ」でさえ、初めから欄干などの高所から飛び込む無茶はしません。最初は岸辺の岩からチャレンジし、“成長”と“慣れ”とともに高い場所へと移っていくのです。
 そして泳ぎに飽きると魚やエビを夢中で追いかけまわし、その表情は真剣そのもの。「川ガキ」たちにしてみれば、どんな小さな生きものだって立派な獲物。生きものを捕まえる行為はテレビゲームと違い、身体全体で満足感を味わえる貴重な体験なのかもしれません。
 いま全国的に水辺から人が遠ざかり、川が忘れ去られようとしています。生活のなかで川との関わりが希薄になり、川本来の流れを想像する機会が減ったためだと、ぼくは思っています。それはコンクリートに固められ、川が暗渠となった都市だけの話ではありません。
 それでもまだまだニッポンの川には、「川ガキ」たちの歓声がこだましています。青い空を映し流れる川に、日焼けした身体をおもいっきり浸し、アユやフナを追いかけた夏。腕よりも太いコイを捕まえ、胸が高鳴った懐かしい日々は、今でも水辺の原風景として存在しているのです。
 遠い過去の光景ではなく、今も元気に遊び回る「川ガキ」たちのイキイキした笑顔に接するたび、大人になって失いかけた何かを思い出させてくれるような、懐かしい気持ちになるのはぼくだけでしょうか。あたり前のように水辺を遊び場とする「川ガキ」にしてみれば、川を忘れるということはあり得ないこと。忘れることは、大切な玩具を捨てることと一緒なのです。
 夏は川で遊ぼう。子どもを連れ出し、川へ放り込もう。魚を追い、生きものに触れ、大人も一緒になって、川で遊ぼう。今からでも遅くはない。大人だって、子どもだって、すぐにでも「川ガキ」になれるのだから。その経験がきっかけとなり、身近な水辺環境に関心が向くことを期待したいのです。

INDEXへ戻る




村山嘉昭
1971年、神奈川県横浜市生まれ。テレビ・ラジオ局の広報写真、農業出版社の写真部勤務を経て、現在はフリーランスの立場から人と自然のかかわりをテーマにした取材や撮影を行う。日本の水辺環境に危機感を持ち、各地の水辺に生息する「川ガキ」の撮影に取り組んでいる。

川ガキ
http://www.kawagaki.net


無印良品 無印良品キャンプ場 良品計画企業情報
copyright 2006 MUJI Campground