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漁師町に生まれた私は、毎日海を見て過ごした。いや、「見て」というのは少し違うかもしれない。意識的に見ようとしなくても、そこに海があるから、いやおうなしに視界に入ってきていた。だから、18歳でその町を出て初めて、海が気持ちのいい場所だったということを知った。そして、「気持ちいい」という感覚を体が知っていることに気づいた。
今は東京に住んでいるので、海のある生活はしていない。海のそばは気持ちいいのだから、海のある町に暮らせればいいとわかっているけど、都会で仕事をしたいのだから仕方がない。この矛盾がいつか解消されるのか、自分でもまだわからない。
ただ、体は気持ちよさを求めている。その欲求を押さえ込むことは、たぶん、体によくない。だから私は空を見上げる。
空は、どんなに都会的な町にいても、絶対的な「自然」だ。その色は毎日、刻一刻と違うし、太陽も、雲も、月も、星も、虹も、ある。この前、銀行に向かっていると、爽快な青空から一転してグレーに変わり、雷が轟き、どしゃぶりの雨が落ちてきた。その日の夕方、西の空がオレンジ色に輝いていた。別の日、たくさんの人に交じって信号を待っていると、高いビルの間に虹が出ていた。大きくてくっきりとした虹。電車に乗って、窓から外を見ていると、羽をのばしたような形の雲に太陽の光がキラキラと射していた。仕事で遅くなった夜。自転車に乗って帰る道の向こうに、うっすらと赤い、大きな大きなまあるい月が現れた。
空を見上げると、いつも体が気持ちいいことを、私に知らせてくれる。

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| 愛媛県双海町生まれ。有限会社スカイブルー代表。オーストラリアでスクーバダイビングインストラクター資格を取得。体や食、フィットネスに関する情報誌を編集する。「漁師の食卓」(ポプラ社)、「約束の旅」(サンキッズブックス)などの書籍も手がける。最近、ロミロミを学び始めた。 |
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