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アフリカの砂漠も南米の密林も南の島々も極域も海の底も行ってみた。魚も釣ったし獣も追いかけた、カヌーでオリノコ川も遡った。テントを車に積んでフィンランド・ノルウェーの田舎巡りもした。7分余の皆既日食を見たいがために、バファカリフォルニアの先端まで車を走らせたこともある。どれもこれも面白いことばかりだった。体力に任せて遊ぶのも楽しいが、裏の山に登りおにぎりを食べるだけでも結構愉快である。風が吹くたびに和毛をひるがえす新緑のブナ林を歩くのだって、毎年欠かしたくない行事だ。有明海の防波堤でアサリ採りを見ながら茶を飲んでいた時も、いいもんだなあと思った。
さまざまに遊んできたが、もう一度やってみたいのは、内モンゴルの丘の上で寝ころんで見た流星群観察かな。フフホトから150キロほど奥に入った草原の真ん中に小さな丘があり、麓にゲルが一棟建っていた。そこのご夫婦と3日ほど一緒に暮らしながら、夜には丘に登り、寝ころんで流れ星を見ていた。丘に登れば見渡す限りが草原と空。夜には周囲にいっさい明かりがない暗闇が出現する。仲間3人が思い思いにシュラフに潜り込んで、それぞれが視認した流れ星の明るさと方向を言うのである。「ヘルクレスから牛飼いに向かって3等星」、「小熊から龍の頭に向かって1等星」。時折薄雲が入ると星々が隠れ、また見えてくる。時の流れは雲と流星が教えてくれるだけ。声が途切れると黒い空に落ちていくような錯覚に陥る。友人たちがいなければ、自分の存在さえ疑ってしまいそうだ。地平線の境目から明るさが戻ってくるまでそれを続けるのである。
茶を沸かし、クッキーを頬張りながら空を見続けた三夜。あれはすばらしく贅沢な時間だった。
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| 1947年秋田県生まれ。日本各地で受け継がれている伝統や仕事を「聞き書き」で伝える。アウトドア作家『アンクル米松』としても知られ、アウトドア雑誌等でもエッセイを執筆している。「手業に学べ」、「木のいのち木のこころ」等、数多くの著書を発表。 |
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